工作船：上陸スクーター搭載　「自爆」明記のスイッチも

鹿児島県・奄美大島沖で起きた朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の工作船事件で、 第１０管区海上保安本部は２２日、同船船尾に格納された小型舟艇（子船）から、 新たに水中スクーター１台と爆発物１個を発見した。 工作船の目的が工作員の上陸・回収だった可能性がより高まった。
また、子船の操舵席からハングルで「自爆」と書かれた起爆装置を発見していたことも分かった。 スクーターは操舵席前の甲板のハッチを開けたところで見つかった。深緑色で長さ１７０センチ、 直径４０センチの円筒形。９０年１０月に福井県美浜町の海岸に漂着した、 円筒形ボディーにスクリューが付いたスクーター（長さ１５０センチ、直径約２５センチ）と 似ているが、スクリューの形などが若干異なるという。富山県黒部市の黒部川河口でも０１年３月、 同型のスクーター（長さ１６０センチ、直径２７センチ）が見つかっている。
北朝鮮の工作員は、子船で海岸近くを目指し、接岸が困難な場所などでは、 スクーターを子船から取り出して上陸を図るとみられる。 一方、起爆装置は子船の操舵席付近にあった。草緑色の四角い箱型で、 上面にレバー式のスイッチが二つ並んでいた。箱には白のハングルで「自爆」と記されていた。
爆発物は１８日に操舵席後ろの左舷側スペースで見つかっており、二つ目。 新たに見つかった爆発物は、操舵席の前左舷側スペースに横倒しに置かれ、直径約２０センチ、 長さ約３０センチの円筒形。二つの爆発物はコードでスイッチにつながり、 自爆や相手船もろとも船を沈めるためとみている。
また、１６日に工作船から見つかったロケットランチャーのような武器は「８２ミリ無反動砲」 と分かった。旧ソ連が開発した「Ｂ―１０」ではないかとみている。軍事専門家によると 、Ｂ―１０は共産圏や中東で広く陸戦兵器として使われ、 北朝鮮の陸軍にも千数百基が配備されているという。