夏とB氏と太陽と 1
誰でも「あの人の話をするだけで場が和む」という知人を持っていると思います。
今回はそんな僕の友人、B氏のハナシをお聞きください。
(注 B氏はマンガのキャラで例えると、ぶっちゃけたハナシ、ジャイアンです)
第一話 『あきらとB氏と三角巾』
これは僕が中学校の時のハナシです。
学校の窓枠に手すりがありました。 耐久性を重視してか、鉄製の四角くゴツイ手すりです。
さて、同級生の一人にあきら君(仮名)という人がいました。(←まぁこういう時の仮名ってだいたい本名って相場が決まってるのですが)
あきら君とは不良でもないのに常にテストの成績が下から5位以内をキープしているような人です。
ある時、窓の手すりの前にいたB氏があきら君を呼び止めました。
「ちょっとあきら、来い」
「なに〜?B〜?」
「ちょっとあきらここに手ぇ入れてみろ?」
「わかったよ〜」
成績が下から5位をキープし続けるあきら君、なんの疑問も抱かずに従います。
まるでハンドバックを抱えるかのように四角くゴツイ鉄製の手すりを抱えるあきら君。
そこで天性のいじめっ子、B氏の眼が光りました!
ガシッとあきら君の手首を掴むと手すりを軸にしてギリギリと締め上げます。
腕の内側の柔らかい肉を鉄製の四角い手すりが圧迫します。 しかもいじめっ子の資質として、
B氏の腕力は学校でもトップクラス。 これはたまったものではありません。
「痛て〜B〜痛て〜」
「ガハハ、ひっかかったなバカめ」
お気に入りの決めゼリフを口にしながらご満悦のB氏。 あきら君の泣き言など耳も貸さずにギリギリと。
「やめて〜B〜やめて〜」
「百円くれる?」(←これもB氏の決めゼリフの一つ。なぜ百円なのかはわかりません)
数日後。 窓の手すりの前にいたB氏があきら君を呼び止めました。
「ちょっとあきら、来い」
「なに〜?B〜?」
「ちょっとあきらここに手ぇ入れてみろ?」
「嫌だよ〜手ぇ入れさせてギリギリってやんでしょ〜?」
ちょっと知恵がついてきたあきら君。しかし、
「いや、ぜってーしねーから。 俺を信じろ」
「わかったよ〜」
手すりを使ったナゾの関節技をしないと言うなら、何のために手すりに腕を通させなければならないのでしょう?
案の定、ガシッと腕を締め上げられるあきら君。
「痛て〜B〜痛て〜」
「ガハハ、ひっかかったなバカめ」
「やめて〜B〜やめて〜」
「百円くれる?」
数日後。 窓の手すりの前にいたB氏があきら君を呼び止めました。
「ちょっとあきら、来い」
「なに〜?B〜?」
「ちょっとあきらここに手ぇ入れてみろ?」
「嫌だよ〜手ぇ入れさせてギリギリってやんでしょ〜?」
「いや、ぜってーしねーから。 俺を信じろ」
「そんな事言って、こないだだってギリギリ〜ってやったじゃん〜」
かなり知恵がついてきたあきら君。 いくらなんでもここまで騙される人はいません。しかし、
「マジで何にもしないから。ちょっと手ぇ入れるだけでいいから。頼む!」
「ぜったい嫌だ〜」
そこで業を煮やしたB氏、あきら君の眼前で握り拳を作り、
「入・れ・ろ」
「わかったよ〜…」
数日後。 あきら君が三角巾を腕にしているではありませんか。僕らが
「おい、あきら、その腕どうした?」
と聞くと、あきら君は泣きそうな顔をして
「Bから腕、折られた〜」
『あきらとB氏と三角巾』 終
この物語はフィクションです。 実際の人物、事件とは異なります。
(僕が腕折られるからね!)
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