夏とB氏と太陽と 2
誰でも「あの人はそんじょそこらのヤツとは違う」と一目置かれる知人を持っていると思います。
今回はそんな僕の友人、B氏のハナシをお聞きください。
第二話 『カバンとB氏と30万』
これは僕が高校を卒業する頃のハナシです。
ある時、B氏が妙にホクホクした顔をしていました。
僕が
「なんかいい事あったの?」
と聞くと、B氏は満面の笑みを浮かべて、
「30万拾ったよ30万。 すげーラッキーだったわー」
彼の性格からいって『拾った物を交番に届ける』などという女々しい選択肢はハナから無いのは
重々承知していますが、30万はいくらなんでも高校生の身にしては大きすぎます。
一応その30万を警察に届けるつもりがあるのかないのか聞こうとして、
「なぁ、その30万どうするの?」
と訊ねてみると、
「ホテルに泊りがけでスキー行ってきたわ。」
『行く』ではなくすでに『行ってきた』です。僕の予想を軽々と越えてます。
そして僕はその30万をどういうシチュエイションで拾ってきたのか気になって訊ねてみました。
そしたらまたしても僕の想像など軽く吹き飛ばすような答えが返ってきました。
「こないだよぉ、俺九州行ったろ? んで帰りに××空港で飛行機待ってたら隣のベンチに
ババァが座ってたんだよ。 そのババァが便所かなんかで席立ったんだけど、よく見たらそのババァのカバンが
置きっ放しになってたんだわ。 んでそのカバン持って便所行ったんだよ。
中見たら封筒にぎっしり30万入っててさぁ、ラッキー!と思ってそれを靴下の底に入れたんだよ。
んで時間来たから乗り場まで行こうと思ったら、なんかさっきのババァが青い顔して
空港の係員と立ってんのよ。 んで係員が一人一人ボディチェックしてんだよ。
やべぇかなーとも思ったんだけど、足首んトコまでしか調べなかったから助かったー。
あれ普通に足首んトコの靴下に入れただけだったらヤバかったかもな。」
そ、それってひょっとしたら、『拾った』んじゃなくて、置き……
『カバンとB氏と30万』 終
この物語はフィクションです。実際の人物、事件などとは異なります。
(置き引きは犯罪だからね!)
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