○信ラーメン


宮城と山形を結ぶ国道286号線の途中、笹谷峠付近に美味しいと評判の『ラーメン渓流』という店があります。(ただし今はちょっと調子に乗っててアレらしい)
僕、ポン獄長と友人はその日仙台まで買い物に出かけました。 そして二人ともお腹がすいたのでどこか寄って食べていこうとという話になりました。
「今からラーメン食べいこうぜ? この近くにうまい店があるらしいよ」
「へぇ、んじゃそこ行こ。 店の名前なんていうの?」
「ん〜ちょっと思い出せねーなぁ…」
二人は何も考えずに一軒のラーメン屋の前に車を停めます。 そこに書かれた店の名はラーメン渓流…ではなく、『○信ラーメン』。一軒違いでひどい目に会う事を二人はまだ知りません… 
ドアを開け、店内に一歩踏み出した瞬間、「うっ」という雰囲気が二人の間に漂います。
カラースプレーで描き殴られたヒップホップ調の落書き、多数の友人と大声で話し込んでる店員、そしてテーブルに書かれた『テキサス』という謎の文字。
これはやばいです。客に気を使えない人が味に気を使えるわけがありません。
「注文お決まりーすかぁー?」
一部の若者特有の気の抜けた声で店員が注文を聞きに来ます。
普通のラーメンを注文し、その間にトイレに行きました。 驚きました。 ポットン便所です。数十年ぶりにポットン便所を見ました。
いや、その事を責めるつもりはありません。こんな山奥なのですから、水洗が入っていないのはしょうがないでしょう。
ただ僕は、食べ物屋にあるまじき汚さに驚いたのです。
それと目の前に描かれたドクロにも。食い物屋に『ドクロ』…
用が済んだら飛び出すようにトイレを出て、席に戻りました。
その時、厨房に入っている兄ちゃんが大声でこう言います。
「腹、痛ってー!!」
食べ物を作りながら言うセリフでしょうか。 客に対してその程度の気遣いすら出来ない人が出すラーメン。それを僕たちは食べようとしてます。
「お待ちどー」
さて、待望のラーメンの登場です。 まずはスープからいただきます。
う、薄い!っていうか塩以外の味が無い!(後述) 『あっさり系』にも程がある!
いやいや、これが麺にからまると絶妙なハーモニーってヤツをかもし出すんだな、と自分を励ましつつ麺をいただきます。
こ、コシが無い!っていうかインスタントラーメン! 出てきたばかりなのにもう延びてる!
向かいに座った友人を見ると猛スピードでラーメンをすすっています。
美味いのか!?と思いましたが、良く見ると無表情。 僕も無言で食べ続けます。
そしてお金を払い店を後にしました。 車内でも無言の二人。 静寂に耐えられなくなった僕が口を開きます。
「なぁ、今のラーメン屋…」
「マズッ、すっげーマズい! ここまでマズいのは喰ったことねぇ!」
堰を切ったかのようにしゃべりだす友人。 どうやら二人とも互いを「あまりにもマズかったのでマジギレしてるんじゃないか」と思ってた様子。
「とにかく麺が―」
「スープが―」
「チャーシューも―」
と二人マシンガントークです。 そして共通の結論に落ち着きました。
「今からラーメン食べいこうぜ?」


もし笹谷峠を通った際にはぜひ○信ラーメンにお立ち寄り下さい。 店にいながらにしてインスタントラーメンの味が楽しめます!(少なくても、この後人気者になれるでしょう)


追記
後で調べたところ、○信ラーメンは福島市に本店のあるラーメン屋で、スープがウリの店。 薄いスープの底に濃いスープが沈んでいて、最初あっさり後半こってりと二種類の味が楽しめる。
ウソつけ、かき混ぜても塩分の濃度以外変わらんかったぞ!(笹谷店は)

追記2
いろんなHPで調べたのですが、割と評価は高かった。 そんな馬鹿なと思いよく調べてみると、西部劇マニアでカウボーイスタイルのオヤジがやっている店で、「個性強いが味は良い」というラーメン屋だったらしい。(←という事は、ダメ二代目パターンか?)
それでテーブルに『テキサス』とか『ニュージャージー』とか書いてあったのか! 

追記3
文中で使われた『○信ラーメン』は、実は伏字では無い。





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